EmEditor v24.1.0 を公開しました (テクニカル レビューを含む)

本日、EmEditor v24.1.0 を公開しました。

新バージョン (v24.1) では、Windows 11 エクスプローラの新しいコンテキスト メニューに対応しました。Windows 11 では、Windows 10 やそれ以前のバージョンとは異なりコンテキスト メニューのデザインが変更されたため、アプリがこれに対応するには特別な処理が必要となりました。そこで EmEditor でも、Windows 11 のコンテキスト メニューに対応し、[EmEditor で編集] コマンドを直接選択できるようになりました。また、フォルダーやエクスプローラ内の背景上で右クリックした際には、[EmEditor でファイルから検索] コマンドを選択できます。この機能を使用するには、EmEditor のトレイ アイコンがタスクバーの通知領域に表示されている必要があり、デスクトップ インストーラー版が Windows 11 で実行されている場合にのみ対応しています。この機能は EmEditor Professional と EmEditor Free の両方で使用できます。

エクスプローラの Windows 11 コンテキスト メニューにショートカットを追加しました。

EmEditor Professional の新バージョンで追加されたもう一つの主要な機能は、AI 機能の強化です。v24.0 で OpenAI API (以下、API と略) を利用した AI マクロを標準装備しましたが、v24.1 では、文章をタイピング中に AI が次に入力する内容を予測し、自動補完する「AI による執筆支援」機能を追加しました。AI による自動補完は、タイピングの量を減らし、執筆速度を向上させることができます。私自身もこの文章を EmEditor で書いており、「AIによる支援執筆」機能の便利さを実感しています。

既定では、AI の機能は無効になっています。本機能を有効にするには、[カスタマイズ] ダイアログ ボックスの [AI] ページで [AIを有効にする] オプションをチェックして、EmEditor で開かれた文書内のテキスト データを OpenAI が処理することに同意する必要があります。プライバシー ポリシーを読んで、同意する場合には、[継続] ボタンをクリックしてください。このプライバシー ポリシーによると API に送信されたデータは OpenAI のモデルの学習に利用されないとされています。

[カスタマイズ] ダイアログ ボックスに [AI] ページを追加しました。

次に、お持ちの API キーを [OpenAI API キー] テキスト ボックスに入力します。API キーは、こちらから取得できます。API キーは、’OPENAI_API_KEY’ 環境変数に保存する方法が推奨されていますが、EmEditor ポータブル版の使用やコンピューターの共有を理由に他のアプリとキーを共有しない場合は、[‘OPENAI_API_KEY’ 環境変数を使用する] オプションを無効にし、API キーを EmEditor 専用として保管することができます。既定では、gpt-4-turbo-preview が優先モデルになっています。gpt-3.5-turbo に比べて、gpt-4-turbo-preview の方が、より精度の高い予測が可能になります。日本語での執筆には、gpt-4-turbo-preview の選択を推奨します。また、この機能を有効にするためには、使用する各設定のプロパティの [基本] ページで [AIによる執筆支援] オプションを有効にしておく必要があります。Text、Markdown、HTML の設定で既定で有効になっています。

設定のプロパティの [基本] ページに [AIによる支援執筆] チェック ボックスを追加しました。

本機能を有効にすると、文章をタイピング中に、AI が自動的に次にタイプされるテキストを予想して提案します。提案されたテキストは既定で灰色で表示され、Tab または End キーを押すことでその提案を受け入れ確定します。提案されたテキストの一部だけを確定したい場合は、「→」(右矢印) キーを確定した文字数だけ押すか、Ctrl+「→」 を押して 1つの単語だけ確定します。Delete キーを押すと、提案されたテキストの最初の 1文字を削除します。Esc キーまたは他のキーを押すと提案されたテキストをキャンセルします。さらに、提案テキストが表示されていない状態で AI による予測を強制的に行いたい場合や、異なる提案を求める場合には、Ctrl+Space を押します。

OpenAI を使用して単語またはフレーズを補完する機能を追加しました。

EmEditor でファイルを開いただけでは、API を呼ぶことはありません。文字のタイピングを開始して初めて、API を呼び出します。さらに次の条件がすべて満足されている間でのみ、API を呼んで本機能を利用するようになっています。

  • EmEditor Professional 版を実行中
  • [AIを有効にする] オプションが有効
  • [AIによる執筆支援] オプションが有効
  • マクロを記録または実行中ではない
  • [書き換え禁止] が無効になっている
  • どのテキストも選択されていない
  • 巨大ファイルではない
  • CSV モードではない
  • ファイルの比較中ではない
  • 編集中の文書がアクティブである
  • カーソルが行末にある
  • 文字のタイピングを開始している
  • タイピングを一時停止 (100ms 程度) の後
  • Esc キーを押して提案をキャンセルしていない
  • マウスで他の場所をクリックしたり、その他のコマンドを実行した直後ではない
  • IME未確定の文字が存在しない

以上のように、API の利用頻度をできるだけ少なくするようにしていますが、それでも API の利用には OpenAI に対して利用料金が発生し、token 単位で計算されます。1回の提案には、入力で約 100 token、出力に約 10 token を消費します。現在の料金体系によると、既定の gpt-4-turbo-preview を使用する場合、1回あたり約 0.0013 米ドルが消費される計算になります。gpt-3.5-turbo を選択する場合は、その20分の1となり、1回あたり約 0.000065 米ドルが消費されます。参考までに、同社が提供している ChatGPT Plus を利用する場合には、月額 20米ドル以上の利用料が発生しますが、API だけを利用する場合には、ChatGPT Plus の利用料を支払う必要はありません。EmEditor で AI を使用すれば、月額 20米ドルに達することは到底考えにくく、経済的に利用できると言えるでしょう。v24.0 で紹介した AI マクロを使用すれば、ChatGPT Plus のように EmEditor から AI に自由な質問を行うことができますので、ChatGPT Plus から EmEditor に完全に移行することも可能です。

本バージョンでは、さらにお客様からいただいた要望に応えました。

1. 強調表示や並べ替えコマンドで使用される IPv6 アドレスとして使用する 16進数の文字は、従来のバージョンでは、小文字のみを認識していました。これは、RFC 5952 では、IPv6 アドレスを小文字のみで書くことが推奨されているためでした。しかし、あるお客様より、大文字と小文字が混在されていることもあるとのご指摘を受け、大文字もサポートするように変更しました。

2. コミットリスト プラグインでは [リモート ブランチを削除] コマンドを追加して改善しました。

最後に、Pro版、Free版ともにご満足いただけましたら幸いです。将来、ご質問、機能のリクエスト、アイディアなどがございましたら、ご連絡いただくか、フォーラムにご発言ください。

今後も EmEditor を引き続きご愛顧くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
— 江村豊

主な変更点、画面図など、詳しくは、「Version 24.1 の新機能」をご覧ください。

デスクトップ インストーラー版をご使用の場合は、[ヘルプ] メニューの [更新のチェック] を選択して更新していただけます。この方法で更新できない場合には、最新版をダウンロードして、そのダウンロードしたインストーラーを実行してください。デスクトップ ポータブル版の場合は、こちらよりダウンロードして、更新していただけます。ストア アプリ版の場合は、数日後、Microsoft ストア (64ビット または 32ビット) よりダウンロードまたは更新していただけます。