EmEditor v26.2.0 を公開 — AI機能の強化、MSIX技術の導入と高速化
本日、EmEditor v26.2.0 を公開しました。
1. AI関連の機能強化
本バージョンでは、ご要望の多い AI 関連の機能を強化しました。以前のバージョンから実装されている通り、AI 関連の機能は大きく 2 つに分かれます。
1-1. AI による執筆支援
v24.1 より実装されていた AI による執筆支援は、さらに次のオプションを追加して強化しました。
- カスタマイズ ダイアログ > AIオプション
- AI プロバイダーとモデル: 従来は、AI による執筆支援では、OpenAI しか使用できませんでしたが、本バージョンより、Anthropic、DeepSeek、Google、LM Studio/OpenAI互換も選択できるようになりました。例えば、LM Studio 経由でローカル LLM を使用することにより、AI の使用料を気にせずに AI による執筆支援の恩恵を受けることができます。API キーが必要な有料 AI プロバイダーを使用する場合には、API キーは、AI とチャットの設定であらかじめ指定しておく必要があります。
- ステータス バーに追加情報を表示: このオプションをオンにしておくと、AI にプロンプトを送信したり、レスポンスを受信したりしたタイミングで、ステータス バーに情報を表示します。
- 設定のプロパティ > AI支援
- 確実な場合にのみ提案を表示: これをチェックしておくと、AI による提案をあまり頻繁に受けとりたくない場合には、確実な場合にのみ提案を表示することができます。これをチェックした場合には、下の 信頼度 スライダーでどの程度の信頼度以上でのみ提案を表示するかを調節できます。このオプションは、AIにとって信頼度の判断は難しく、AIモデルによっては正しく理解されないこともありますので、必要なければ、オフにしておくことを推奨します。
- 温度を設定: AI における温度 (temperature) とは、LLM が文章を作成する際、次に続く単語を選ぶ「ランダム性 (創造性)」をコントロールするパラメータのことです。温度が低いほどランダム性が低く、より固定された提案を受け取ります。温度が高いと、ランダム性が高く、創造性に富む提案を受け取ることができます。温度を設定オプションがオフの場合には、温度パラメータはモデルの既定値が常に使用されます。オンの場合には、最初は、0.0 が使用されて固定された提案を受け取りますが、Ctrl + Space を押して異なる提案を得る時には、温度を高くしてより創造性に富む提案に切り替わります。最近の推論モデルでは、温度パラメータを受け取らないものが多く、このオプションは無視されます。モデルによって、温度が設定できないためにステータス バーにエラーが表示される場合には、このオプションをオフにしてください。AI による執筆支援では、推論モデルではなく、迅速にレスポンスを得られる軽いモデルを指定することを推奨します。
- 次の文字の後は提案を表示しない: これをチェックして、その下に、例えば、文の最後を示す文字を「.。」というように入力しておくと、「.」や「。」といった記号の後では、次の提案を表示しなくなります。このようにして、編集するテキストの種類に応じて、使いやすく設定することが可能です。
- 遅延時間: AI による提案は、文字のタイピングが止まってアイドルになってから指定された時間を経過した後に、自動的に表示されます。この遅延時間をスライダーでミリ秒単位で調節できます。
- 追加の指示: ここには、どのような提案を受け取りたいか、使用する言語や言葉のトーンなどの指示を追加することができます。例えば、JavaScript でコードを作成しているときなら、「JavaScript を使用して」と指定することができますし、丁寧語を使用したい場合には、「です・ます調で書いて」と指定できます。ただし、AIモデルによっては、必ずしも、これらの追加の指示を完全に理解して適切なレスポンスを行うとは限りませんし、あまり多くの指示を書いてしまうと、レスポンスが遅くなることもあります。それでも、より多くのカスタマイズができるようになったことで、試行錯誤により、お好みの動作に近づけられるようになると思います。

1-2. AI プロンプト
v24.3 より実装されていた AI プロンプトの機能強化です。AI プロンプトを使用することで、AI への質問をエディタで書いてから、簡単に AI に送信することが可能になります。しかし、AI は間違えることがありますし、2 つの AI の回答を比べることによって、より適切な回答を得ることができます。本バージョンでは、各 AI プロンプトに、必要なら 2 つ以上の AI プロバイダー/モデルを指定できるようになりました。例えば、OpenAI と Anthropic の両方に同じプロンプトを送信して、2 つの AI からのレスポンスを比較して分割表示することもできます。もし 2 つ以上の AI モデルからのレスポンスが大きく異なる場合には、どちらかに間違いがあるのではないかと疑うことができます。プログラム コードで AI プロンプトを使用する際には、複数のモデルで検証を行うことにより、AI によるコードのバグを減らすことができます。なお、ローカルの 2 つの AI モデルを指定する場合には、LM Studio で使用する両方のモデルがあらかじめロードされていることを確認してください。そうしないと、片方のモデルがロードできないというエラーが発生することがあります。

1-3. ChatAI プラグインが必須
なお、AI 機能を利用するには、EmEditor に加えて、別途 ChatAI プラグインをインストールする必要があります。ただし、後述するように、ストア版 EmEditor では、ChatAI プラグインが同梱される予定のため、別途インストールする必要はなくなります。
2. MSIX 技術の導入 (近日公開)
MSIX とは、Microsoft が提供する最新の Windows アプリ パッケージ形式です。従来からある EmEditor のストア版は、この MSIX 技術を採用したパッケージに変更し、従来のストア版では使用できなかった多くの機能がストア版でも使用可能になり、近日公開の予定です。これにより、ストア版 (MSIX) とインストーラー版 (MSI) との機能差がほぼ完全に無くなります。従来のストア版で使用できなかった機能で、本バージョンで使用できるようになる機能には、以下のものがあります。
- エクスプローラのコンテキスト メニュー: v24.1 からの新機能であるエクスプローラの Windows 11 コンテキスト メニューは、MSIX 版でも使用できるようになります。
- ジャンプ リスト: タスク バーに表示される EmEditor アイコンで右クリックして表示されるメニューから最近使ったファイルや、ファイルから検索などのコマンドを呼び出せるジャンプ リストを MSIX 版でも使用できるようになります。
- コマンド プロンプト/PowerShell コマンド: 文書タブで右クリックした時に表示されるメニューなどから呼び出せるコマンド プロンプトや PowerShell などのコマンドが利用できるようになります。
- 同梱されていないプラグイン: 従来のストア版では、同梱されていないプラグインは使用できませんでした。MSIX 版では、自作プラグインやライブラリに公開されているプラグインをダウンロードして、使えるようになります。
- レジストリへのエクスポートや、レジストリからのインポート: インポートとエクスポート コマンドから、EmEditor の設定をレジストリ ファイルとしてエクスポートしたり、レジストリ ファイルからインポートできるようになります。
- 保護されたフォルダ内のファイルを権限昇格して保存: 従来のストア版では、
C:\Program FilesやC:\Windowsなどの OS で保護されているフォルダにファイルを保存することができませんでした。MSIX 版では、他のバージョンと同様に、権限昇格の確認プロンプトの後、ファイルを保存できるようになります。
MSIX パッケージは、ストア版 (MSIX) だけでなく、直接ダウンロードとしても近日公開の予定です。Microsoft ストアが利用できない法人のお客様は、このインストーラー版 (MSIX、直接ダウンロード) をご利用いただけるようになります。
詳しい比較は、インストーラー版・ポータブル版・ストア版の比較をご覧ください。
MSIX 版 (ストア版・直接ダウンロードとも) は、インストーラー版 (MSI) に比べて、以下の理由で安全に使用することができるようになります。
- パッケージはクリーンにインストール・アンインストールでき、設定はアプリ専用の場所に保存されるため、システム全体に影響を及ぼす変更がありません。
- インストーラー版 (MSIX、直接ダウンロード) は、Emurasoft の証明書で署名される予定です。パッケージ内部の各ファイルの署名と、パッケージ全体の署名が完全に一致しないとインストールできない仕様になっているため、ハッカーからの改ざんの防止が可能です。
- MSI インストーラーでは、カスタム アクションで任意のスクリプトを実行することができましたが、MSIX 版パッケージにはこれに相当する機能がないため、スクリプトを悪用するハッカーからの改ざんを防止することが可能です。
- ストア版 (MSIX) は、上記の改ざん防止という点で同等にセキュアですが、さらに Microsoft ストアによって検証・署名されているため、最もセキュアな版といえます。
したがって、MSIX 版は、ストア配布、直接ダウンロードともに、Microsoft が推奨する最新の Windows アプリ パッケージ形式であり、最も安全です。初めて EmEditor をインストールされる場合には、MSIX 版を推奨します。既に、インストーラー (MSI) をお使いの場合は、従来通り、更新チェッカーを使って更新して使用を続けていても問題はありません。
ストアにアクセスできる個人のお客様は、ストア版のご利用を推奨します。ストアにアクセスできなかったり、AI の利用が禁止されている主に法人のお客様は、従来通り、インストーラー版 (MSI) をご利用いただけます。
法人のお客様など、AI の利用を完全に禁止したい場合は、FAQ「EmEditor では AI 機能は有効になっていますか?」の「AI 機能を無効にする」をご覧ください。
Microsoft Intune などの IT管理ツールを利用して、レジストリの次の場所に DisableAIAdmin という REG_DWORD 値を作成し、
HKLM\Software\EmSoft\EmEditor v3\CommonHKLM\Software\Policies\Emurasoft\EmEditor(v26.2 以降)
DisableAIAdmin の値を 1 に設定すると、すべての AI 機能が無効になります。
3. 動作速度の改善
v26.1 でも高速化した 1行が非常に長い巨大ファイルを開いたときの動作を、本バージョンでは、さらに高速化しました。当社テストによると、改行を含まない巨大ファイルの水平スクロールは、v26.0 に比べて約 14 倍に高速化しています。
また、プレビュー版の開発過程で見つかった不具合も修正しています。
Pro 版、Free 版ともにご満足いただければ幸いです。ご質問、機能のリクエスト、アイデアなどがございましたら、ご連絡ください。
今後とも EmEditor をご愛顧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
— 江村豊
主な変更点や画面図など、詳しくは、「Version 26.2 の新機能」をご覧ください。
インストーラー版 (MSI) をご利用の場合は、ヘルプ メニューの 更新のチェック から更新できます。うまくいかない場合は、最新版をダウンロードして、インストーラーを実行してください。Microsoft ストアでの公開は、数日後になる予定です。MSI を直接ダウンロードされる際には、デジタル署名の署名者が Emurasoft, Inc. であることを確認してください。




