v25.2 の主な新機能の一つは、生成 AI 機能の強化です。EmEditor はv23.1以降、OpenAI APIをサポートしてきましたが、OpenAI API 互換のサービスを含む、他の生成 AI サービスへの対応を求めるご要望を多くいただいておりました。これに応え、江村誠は AI プロンプトおよびチャット機能に以下の改善を加えました。
DeepSeek API のサポート
DeepSeek のモデルである deepseek-chat および deepseek-reasoner が、AI とのチャットおよび AI プロンプトで利用できるようになりました。DeepSeekは OpenAI に類似した AI サービスを提供しています。DeepSeek を利用するには、DeepSeek API キーを作成する必要があります。
LM Studio のサポート
OpenAI や DeepSeek の API を利用する場合、インターネット接続が必要でデータが外部に送信されますが、AI モデルをローカルで実行することで、よりプライバシーが保たれます。そのため、様々なオープンソース AI モデルを PC 上で動作させることができるプログラム、LM Studioへのサポートを実験的に追加しました。LM Studio をインストールすると、多くの AI モデルを試すことができます。ただし、モデルによっては大容量のディスクスペースや特定のハードウェア( CPU/GPU )が必要な場合があります。例えば、Gemma 3 12B( 8.15GB )は私の環境では動作しませんでしたが、Gemma 3 1B( 720MB )は問題なく動作しました。ローカルモデルは OpenAI や DeepSeek ほどの性能や応答速度は期待できませんが、無料で利用でき、有料サービスに依存しません。今後、さらに高性能なモデルも登場する可能性があります。
互換モデルのサポート
OpenAI および DeepSeek API のエンドポイント URL を自由にカスタマイズできるようになり、これらの API と互換性のある他のサービスも利用しやすくなりました。ただし、API エンドポイントを変更するだけでは完全な互換性が保証されるわけではありませんので、ご利用は自己責任でお願いします。
これらのアップデートにより、OpenAI API、DeepSeek API、LM Studio のいずれかを選択できます。OpenAI と DeepSeek は同等に高性能なモデルを提供しています。無料かつ安全(ただし応答が遅い場合あり)な AI をご希望の場合は、LM Studio がおすすめです。ご自身の用途や予算に合わせて最適な AI モデルをお選びください。
AI 接続設定の移動
これまで「AI オプションのカスタマイズ」や「AI とチャットのカスタマイズ」にあった AI 設定は、「AI とチャット」ウィンドウ内に移動しました。新しい設定ダイアログは、「AI とチャット」ウィンドウを開き、⚙(設定)アイコンをクリックして [設定] を選択することでアクセスできます。
v25.0以降、EmEditor で AI 機能を利用するにはChatAI プラグインのインストールが必要です(ストア版では利用できません)。まだインストールしていない場合は、まずプラグインを導入し、カスタマイズダイアログのAI オプションでAI を有効にするにチェックを入れてください。本バージョンから、OpenAI および DeepSeek API の API キーやモデル設定は、AI とチャット画面左上サイドバーの⚙(設定)アイコンから設定します。カスタマイズダイアログのAI オプションで入力した API キーやモデルは、AI 支援執筆機能専用となります。API キーの取得方法や LM Studio の設定については、[AI とのチャット] プラグインの使い方をご覧ください。なお、AI 支援執筆機能は現在 OpenAI API のみ対応していますが、今後他の AI サービスにも対応予定です。
日付や時刻による並べ替えの強化
以前から日付や時刻での並べ替え機能はありましたが、世界には様々な日付形式が存在します。たとえば、
June 13, 2026
2025-06-10
6/12/2025
11/6/2025
2025年6月9日
これらは全て日付を表現していますが、どの形式が日付として認識されるかは Windows API 任せで曖昧でした。今回から、日付形式を厳密に指定できるようになり、より正確な並べ替えが可能になりました。形式指定方法は、v21.3 でサポートした検索やフィルターの数値範囲の表現方法と同様です。 例えば、 yyyy-MM-dd|M/dd/yyyy|yyyy年M月d日 と指定し、[日時が新しいから古いへ並べ替え] を実行すると、上記例では、
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以前よりご案内していた通り、本バージョンより Windows 7 および 32 ビット版のサポートを終了します。64 ビット版 Windows 8.1 以降、または Windows Server 2012 R2 以降が必要です。Microsoft による Windows 7 サポートは2020年1月に終了しています。新しい OS のみ対応とした上で更なる最適化を行い、起動速度等が向上しました。当社のテストによれば、v25.0 と比べ起動速度が 1.79 倍、日付フィルターも 1.45 倍高速化しています。
EmEditor Professional v23.1 以降、OpenAI を用いた多くの生成 AI 関連機能を追加してまいりました。多くのユーザーの皆様にご好評をいただいている一方、一部の企業のお客様からは、セキュリティ上の懸念を表明されていました。念のために書いておくと、コンピューターがインターネットに接続されていれば、EmEditor で AI 機能を無効にしても、Web ブラウザ等から AI へのアクセスを完全に防止することは不可能です。しかしながら、少しでもテキスト エディターで開いたファイル内容の漏出を防止したいという要望は、管理者として当然の要望であり、私共も理解しています。v24.2 では、管理者権限で AI を完全に無効にする機能を追加しましたが、設定の変更だけでは、一部の管理者の不安を払拭することができませんでした。したがって本バージョンでは、EmEditor 本体から AI 関連の機能を完全に削除いたしました。そして、AI 関連の機能は、別途ダウンロードが必要な ChatAI プラグインとして公開することにいたしました。ChatAI プラグインがインストールされていない場合は、EmEditor の AI 関連の機能は完全に無効になり、AI 関連のコマンドやオプションはすべて表示されなくなります。なお、プラグインが無料で提供されるため公開されていれば、ユーザーが簡単にダウンロードしてインストールしてしまうと不安をもたれる管理者がいらっしゃるかもしれません。その場合は、他にも様々な開発者による無料の AI 関連のツールがインターネット上に公開されていることを理解してほしいと思います。
EmEditor Professional から AI 関連の機能をすべて削除しました。従来の AI 機能を使用するには、別途 ChatAI プラグインをダウンロードしてインストールする必要があります。
逆に、ChatAI プラグインをダウンロードしてインストールすると、AI 関連のコマンドは、新設された AI メニューに集約され、素早くアクセスできるようになります。
ChatAI プラグインをインストールすると、AI 関連のコマンドは、すべて新しくできた AI メニューにまとめて表示されるようになりました。
なお、ChatAI プラグインは、64-bit 版のみの提供とさせていただきます。また、ストア版 EmEditor は、UWP (ユニバーサル Windows プラットフォーム) アプリで、アプリ コンテナ内で実行されるため、外部のプラグインを使用することができません。したがって、残念ながら、32-bit 版またはストア版 EmEditor では AI 機能は利用できません。
本バージョンでの AI 関連の改善点として、1つめは、画像作成時に、通常の解像度か HD かを選択できるようになりました。このオプションは、[プロンプトの新規作成] ダイアログ、および [カスタマイズ] ダイアログの [AIプロンプト] ページで、[出力] に [画像] が選択されている場合に表示される [HD] というチェック ボックスです。
Markdown 表記がより一般的になるにつれて、従来から使われている HTML 表記との相互変換の需要が多くなったと感じています。本バージョンでは、Markdown から HTML へ、および HTML から Markdown へ変換するコマンドを追加しました。さらに、Markdown または HTML からプレーン テキストへ変換するコマンドも追加しました。なお、HTML から Markdown への変換には、Tim Gromeyer 氏の html2md を使用しています。Markdown から HTML またはプレーン テキストへの変換には、従前から Martin Mitáš 氏による MD4C (Markdown parser for C) を使用しています。