EmEditor v21.2.0 を公開しました (テクニカル レビューを含む)。

本日、EmEditor v21.2.0 を公開いたしました。

以前、あるお客様より、メジャー リリースの際にテクニカル レビューを書いてはどうかと、貴重なご意見をいただいたことがあり、それは良いアイディアだと思いました。すべての新機能の裏には、お客様とのやり取りなど多くの理由が存在しています。形式的なリリース ノートには適さないこれらの「裏舞台」の話を、これから皆様と共有したいと思います。

最初に、新バージョン (v21.2) は、EmEditor Free (Free版) に多くの新機能が追加され、多くの方々に喜んでいただけるのではないかと思います。以前は、どちらかというと購入していただいたお客様のための製品 (Pro版) の更新に集中していました。しかし、より多くの無料テキスト エディターが利用可能になってきた昨今、EmEditor を他の無料テキスト エディターの代わりとしてお使いいただきたいと思いました。Free版で利用できる機能が少ないために、あまり良くない評価を書かれるユーザーの方もいらっしゃいます。v21.2 の Free版の新機能には、ブックマーク、マーカー、ファイルの比較 (既定オプションのみ)、スペル チェック、連番の挿入、全画面表示、ワークスペース、マクロ (記録と実行のみ、スクリプトはサポートしていません)、アウトライン、スタート ウィンドウ、設定のプロパティの多くのオプションが含まれます。以前は、Pro版から Free版へのダウングレードの方法が複雑だとのご指摘を受けました。最近のバージョンでは、[ヘルプ] メニューに [ダウングレード]、[アップグレード] コマンドが存在しますが、既定は Pro版でした。v21.2 では、既定がなくなります。v21.2 では、インストール後に初めて EmEditor を起動時、EmEditor Professional として、または EmEditor Free として使用するかを選択するダイアログ ボックスを表示され、最初から Free版として使用できるようになり、[ダウングレード] コマンドを探す必要が無くなりました。

次に、v21.2 には [ステップの繰り返し] 機能を追加しました。当初、このアイディアは、パンデミックの前に東京で窓の杜の編集部の方々との非公式な打ち合わせの際に出てきたものです。編集部の方は、AIを使ってEmEditorの次の動作を検出できないかと提案されました。私は、EmEditor でアプリを重くするだけの大きなバックグラウンド タスクは作りたくないと思いました (Officeアシスタントの「クリッパー」を覚えていますか?)。しかし、繰り返しのタスクはもっと簡単に単純化できると良いと思いました。テキスト エディターで繰り返しのタスクがあると、経験のあるユーザーであれば、それをマクロとして保存し、そのマクロを繰り返し実行するでしょう。しかし、最初は、それをマクロとして記録しないで、それらのステップをただ試してみたいのも事実です。マクロとしてステップを記録しようと思った頃には、既に全体の半分ほどが終わっていて、そのまま何も考えずに繰り返しを終えてしまいたくなるものです。このような時に新しい [ステップの繰り返し] 機能が便利になります。通常、あるタスクを 3回以上 (将来、調整される可能性あり) 繰り返すと、[繰り返し回数を入力] ハイパーリンクの付いた通知ヒントを表示するようになりました。そのハイパーリンクをクリックすると、[繰り返し] ダイアログ ボックスが表示され、繰り返す回数を指定して、指定されたステップを繰り返すことができます。通知ヒントを待たなくても、[編集] メニューから [ステップの繰り返し] を選択して、[繰り返し] ダイアログ ボックスを表示することもできます。基本的に、v21.2 はマクロの記録開始コマンドが選択されたかどうかにかかわらず、永久にマクロを記録し続け、最近のステップを繰り返したくなったら、マクロの再生開始位置を選ぶだけなのです。

私が思い付いたもう1つの便利な機能は、[キーボード ショートカットの割り当て] コマンドです。このコマンドは、ほとんどのメニュー項目またはツール バーのボタン上で右クリックすると表示されるメニューから選択することができ、[すべての設定のプロパティ] の [キーボード] ページを開き、右クリックされたコマンドをあらかじめ選択します。v21.2 より、[すべての設定] がキーボード マップの既定の設定となりました。以前は、EmEditor は、現在の設定のみでも、すべての設定でもキーボードのショートカットを割り当てることが可能で、少しややこしかったものです。多くのユーザーは、特定の設定のみにキーボード ショートカットを割り当てたいとは思わないため、「すべての設定」をキーボードの割り当ての既定にしたいと思ったのです。

あるお客様から、EmEditor は、西ヨーロッパ言語の HTML ファイルで、「“」(0x93, U+201C) と「”」(0x94, U+201D)文字を正しく表示しないと指摘されました。その HTML ファイルには、「charset=iso-8859-1」というタグが使われていました。お客様は、既に、これは ISO-8859-1 エンコードと、そのスーパーセットの Windows-1252 エンコードの違いによるものだということはご存じでした。事実、「“」と「”」文字は、ISO-8859-1 エンコードでは定義されておらず、Windows-1252 でのみ定義されています。実際、多くの西ヨーロッパ言語の HTML ファイルは、しばしば「iso-8859-1」と誤ってラベルが付けられていますが、本当は「windows-1252」と付けられるべきです。WHATWG community Living Standard によると、HTML5 はこれらの HTML ファイルを Windows-1252 として解釈するとしており、EmEditor v21.2 でも [HTML/XMLのCharsetを検出] がオンの場合は、そのように解釈します。

他にも v21.2 の開発にあたり多くの共有したい話題があるのですが、最後に、EmEditor 起動時、自動コピー機能が有効の場合に表示される通知バルーン チップの紹介をもって、このブログを終わりたいと思います。時々、お客様より、コピー アンド ペーストがうまくいかないというご指摘をいただくのですが、多くの場合、自動コピー機能がお客様の気付かないうちにオンになっているか、オフにするのを忘れたために起こります。そこで、新しい通知ヒントにより、自動コピー機能がオンだということが気付きやすくなります。

OS を Windows 11 に更新しようかどうか迷っている方も多いと思います。私は、通常、Redmond にある近所の Microsoft を信頼しているのですが、今回は、わかりません。あるお客様は、Windows 11 のこの特定のバグに関連する不具合を報告しています。EmEditor は設定やファイルの種類の名前に非ASCII文字を使用することが可能で、それらの名前はレジストリのキーになります。Windows 11 が安定になるまで、しばらく待つことをおすすめします。

最後に、Pro版でも Free版でも、皆様に EmEditor が気に入っていただけていることを心より願っています。何か将来、ご質問、機能のリクエスト、アイディアなどがございましたら、ご連絡いただくか、フォーラムに発言してください。また、レビューを書いていただくことも歓迎いたします。私は定期的に皆様のレビューを拝読しています。レビューを書く前にストア アプリ版をダウンロードする必要があるかもしれません。

今後も EmEditor を引き続きご愛顧くださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
— 江村豊

主な変更点、画面図など、詳しくは、「Version 21.2 の新機能」をご覧ください。

さらに本リリースは、次の不具合/問題の修正を含みます。

  • 仮想コンピューターなど特定のコンピューターで巨大ファイルを開く時に異常終了する可能性がある不具合を修正しました。
  • ひらがな/カタカナのみの title タグでエラーを表示してしまう CSS/HTML Validator の不具合を修正しました。

デスクトップ インストーラー版をお使いの場合、[ヘルプ] メニューの [更新のチェック] を選択して更新していただけます。この方法で更新できない場合には、最新版をダウンロードして、そのダウンロードしたインストーラーを実行してください。デスクトップ ポータブル版の場合、こちらよりダウンロードして、更新していただけます。ストア アプリ版の場合、数日後、Microsoft ストア (64ビット または 32ビット) よりダウンロードまたは更新していただけます。winget を使用されている場合は、”winget install emeditor” とタイプして最新版の EmEditor をインストールしていただけます (64ビットか32ビットは自動検出されます)。