本バージョンでは、何よりも最適化による高速化に注力しました。EmEditor の AI とチャット機能を活用してコードの各所を最適化し、多くの操作で動作速度が向上しています。とくに AVX-512 対応 CPU では効果が顕著です。今回の開発では、まるで隣に優秀なプログラマーがもう一人いるかのように感じるほど、AI が大きな助けになったと実感しました。
AI とチャットの設定およびカスタマイズ ダイアログの AI オプション ページでは、最大トークン数や温度 (ランダム性)を指定できます。従来は最大トークン数の既定値が 4096 でしたが、推論を要する GPT-5 などのモデルを選ぶと、出力が途中で途切れる可能性がありました。そこで本バージョンでは、最大トークン数をオン/オフで切り替えられるようになり、オフの場合はプロバイダー側の既定値に任せられるようになりました。
AI とチャットの設定では、推論に対応している場合に推論の労力を調整できます。推論の労力がオフのときは、プロバイダーのモデルの既定値が使われます。推論を強めると AI のレスポンスはより確かになりますが、処理は遅くなります。できるだけ高速にレスポンスを得たい場合は、推論の労力をオンにして Minimal (最小) を選択してください。
類似度で並べ替え
EmEditor では多様な並べ替えコマンドを提供していますが、本バージョンではこれに加えて、現在行またはセルのテキストとの類似度で並べ替えできるようになりました。類似度の算出には、v22.0.0 で紹介したレーベンシュタイン距離(編集距離)を使用しており、大文字小文字を区別しないオプションも用意しています。例えば、名前や住所を含む名簿の CSV ファイルがあり、Michael を検索したとします。カーソルを Michael に置いた状態で類似度で並べ替えを実行すると、Micheal や Mike など、近い名前から順に並べ替えられます。この機能により、従来なら見落としがちな類似名の検索が容易になります。
[類似度で並べ替え] コマンドを追加しました。
Markdown/HTML ツールバー
v24.4 で導入した Markdown ツール バーに HTML 機能を追加し、Markdown/HTML ツールバーに統合しました。Markdown モードと HTML モードは自動的に切り替わります。例えば、Markdown ファイルを開いて Markdown の設定を選択する、または Markdown デザイン モードをオンにすると Markdown モードに、HTML ファイルを開いて HTML の設定を選択すると HTML モードに切り替わります。これに伴い、従来の HTMLBar プラグインは廃止しました。Markdown/HTML ツールバーの HTML モードは、従来の HTMLBar より賢くなっています。例えば、ツールバーの [段落]、[見出し1]、[見出し2] などのドロップダウン リストは現在のスタイルを自動検出して表示し、[太字]、[斜体]、[コード] などのボタンも現在のフォント状態を反映します。何も選択していない状態で [太字] をクリックすると、カーソル位置の単語全体が太字になります。「テキスト」を選択した状態で、 [太字] コマンドの既定の Ctrl+B のショートカットを押すと Markdown モードでは **テキスト**、HTML モードでは <strong>テキスト</strong> に変換します。
Markdown ツール バーに HTML の機能を追加し、Markdown/HTML ツール バーとしました。従来の HTMLBar プラグインは廃止となりました。