EmEditor v24.0.0 を公開しました (テクニカル レビューを含む)

本日、EmEditor v24.0.0 を公開しました。

前バージョンの v23.1 では、マクロから OpenAI の API を呼ぶことにより、生成 AI を使用する方法を紹介しました。生成 AI の呼び出しの引数には、通常、テキストが使用されます。つまり、テキスト エディターと生成 AI は親和性が高いとも言えるでしょう。テキスト エディターで文書を執筆する場合、生成 AI を使用する目的のひとつは、文書の校正です。この使い方の場合、校正前と校正後の文書を、簡単に比較し、どの部分の変更テキストを取捨選択するかを、簡単にできるようにしたいものです。本バージョンでは、文書を分割ウィンドウで比較した状態で、変更テキスト上で右クリックして表示されるコンテキスト メニューに、[他へコピー] コマンドを追加しました。これを選択すると、その変更部分が保持され、比較しているもう一方の文書にコピーされます。文書内のすべての変更を一度にコピーしたい場合には、分割ウィンドウのタイトル部分に新しく追加した [すべて他へコピー] ボタンをクリックします。

比較が終わったら、不要になった文書は閉じて、必要な文書だけ残したい場合があります。こういう時には、新しく追加した [X (閉じる)] ボタンをクリックすることにより、現在アクティブなペインの文書だけが閉じるようになります。また、Ctrl+W や Ctrl+F4 を押しても、現在アクティブなペインの文書だけが閉じるようになります。

ライブラリの ChatOpenAI.jsee マクロ例をさらに発展させ、AI.jsee に名前を変更して EmEditor に既定で追加しました。AI マクロを使用すると、選択テキストまたは文書全体に対して、校正、要約、翻訳、画像の生成などを行ったり、AI に質問することができます。このマクロを実行すると、最初に、OpenAI API キーの入力が求められます。OpenAI にログインされていれば、秘密の OpenAI API キーは、こちらから取得できます。次回からこのキーの入力をスキップするためには、環境変数 OPENAI_API_KEY を設定してください。

本バージョンでは、さらにお客様からいただいた多くの要望に応えました。

1. Onigmo 正規表現では、\Q...\E 構文をサポートしました。この構文を使用すると、正規表現のメタ文字を無効化し、エスケープする必要がなくなります。例えば、[a.c] という文字列を検索したい場合、従来の正規表現では、\[a\.c\] というように、メタ文字である "[", ".", "]" をバックスラッシュでエスケープする必要がありました。新バージョンでは、\Q[a.c]\E と記述することにより、メタ文字をエスケープする必要が無くなりました。なお、Boost の Regex では、従来から \Q...\E 構文をサポートしていました。

2. [次を検索]、[前を検索] コマンドで、重ならない文字列のみ一致するオプションを追加しました。これを簡単な例で説明しますと、次のようになります。例えば、AAAAA という文字列があったとします。そこで、AA を検索します。すると、最初の4文字の AAAA だけが強調表示されますが、[次を検索] (F3) コマンドを実行すると、1個ずつ検索位置がずれて表示されるため、最後の AA まですべて検索することができます。本バージョンで、[高度] ダイアログ ボックスの [次を検索/前を検索で重ならない文字列のみ一致する] チェック ボックスを設定すると、[次を検索] コマンドを実行すると、重ならない文字列のみ一致するように動作するため、最後の A を残して検索を終了します。つまり、強調表示と検索位置が一致します。

3. EmEditor では、URI やメール アドレスが強調表示されますが、これらの部分だけを抽出したいというご質問を頻繁にいただきます。従来のバージョンでそれを行うには、[検索] ダイアログで、適当な正規表現を指定して、[抽出] を選択することで可能でしたが、正規表現に慣れていないお客様が多いことも事実です。本バージョンでは、[頻出文字列を抽出] コマンドで、オプションを指定することにより、URI またはメール アドレスだけを簡単に抽出できるようになりました。

4. EmEditor で CSV を開くと、既定で、自動的に区切り位置を調節して開きます。しかし、非常に長いセルが存在すると、その列の幅が非常に広くなってしまい、CSV 全体が見えにくくなります。本バージョンでは、[カスタマイズ] ダイアログの [CSVオプション] ページに [最大の列幅] テキスト ボックスを追加し、最大の列幅を指定できるようになりました。

5. 前バージョンでは、EmEditor で開いているファイルが、他のアプリにより削除された場合、警告メッセージを表示するようになりました。本バージョンでは、この警告メッセージを表示するかどうかを選択できるようになりました。設定のプロパティの [ファイル] ページに追加された [ファイルが削除された時に警告] チェック ボックスで指定できます。

6. 一部のお客様から、最近のバージョンの Windows 11 で EmEditor の起動時間が遅いという報告がありました。これは主に、スタートアップ時に Windows クリップボード履歴を取得する際に発生します。新バージョンでは、このオプションはデフォルトで無効になっていますが、[カスタマイズ] ダイアログの [クリップボード] ページで有効にすることができます。

7. 新バージョンでは、[ファイルの比較] ウィザード内の [折り返さない切り替える] オプションがデフォルトで無効になります。

さらに、本バージョンでは、[ファイルを分割]、[ファイルを結合]、[インデント]、[逆インデント] コマンドなどを高速化し、v23.1 に比べて 27 から 124 倍に高速化しました

既に、江村誠がブログで発表した通り、本バージョンより、登録検証システムにより、EULA (エンド ユーザー使用許諾契約) で許可されている以上のデバイスで EmEditor Professional を使用されている場合、警告のメッセージが表示されることがあります。今後も低価格なライセンス料を維持し、複数ライセンスを購入されたお客様の間の公平性を確保するためにも、ライセンスの条項にしたがって十分なライセンス数を購入してお使いください。

EmEditor をアンインストールすると、デバイスの登録が解除され、別のデバイスにインストールすることができます。登録されているデバイスはこちらで確認できます。古いデバイスが登録解除されるように、v24.0.0 の公開日に、すべてのデバイスの登録を解除しました。EmEditor を使用すると、デバイスは自動的に登録されます。

Pro版、Free版ともにご満足いただけましたら幸いです。将来、ご質問、機能のリクエスト、アイディアなどがございましたら、ご連絡いただくか、フォーラムにご発言ください。

今後も EmEditor を引き続きご愛顧くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
— 江村豊

主な変更点、画面図など、詳しくは、「Version 24.0 の新機能」をご覧ください。

デスクトップ インストーラー版をご使用の場合は、[ヘルプ] メニューの [更新のチェック] を選択して更新していただけます。この方法で更新できない場合には、最新版をダウンロードして、そのダウンロードしたインストーラーを実行してください。デスクトップ ポータブル版の場合は、こちらよりダウンロードして、更新していただけます。ストア アプリ版の場合は、数日後、Microsoft ストア (64ビット または 32ビット) よりダウンロードまたは更新していただけます。